山本と獄寺カップル前提。 ―――――・・・キミノカケラ・・・―――――― 人気のない校舎の屋上に二つの影が並んでいた。 「なぁー獄寺、ちょースキ」 山本がぎゅーっという効果音が付きそうな勢いで抱きしめてくる。 ・・・正直うざったい。 「・・・・・・。」 「スキ、スキ、もうだいっすき」 耳元で何度も同じ言葉をつぶやかれても正直困るだけだ。 「なんなんだよ、今日は。」 「言いたいときに言っておかないとな。それに、2人きりだし。」 「はぁ?いつだっていえるだろうが。」 「あーもう獄寺かわいい。愛してる。」 一言一言に語尾にハートマークが付いている様だ。 「あー・・・うぜぇ。」 「なんだよ、獄寺は俺のことスキじゃないのかよ?」 スキじゃないなんてことはないが、そんな台詞恥ずかしすぎる。 ・・・・・・・・・チュッ うっさい口をふさいでやったら山本はひとりぽかんとした表情を浮かべた後に、 ものすごい笑顔になった。 照れを隠すためにぶっきらぼうに言い放つ。 「・・・っもう、部活だろ?早く行けよ。」 「ぉう。んじゃ、いってくる。」 「・・・そのにやけた顔はどうにかしろよ。」 山本がグランドへ向かった後一人つぶやいた。 端から見ればバカップルだが、その端から見ている人間がいないために 彼らは二人だけの時間をこれでもかと言う位に満喫していた。 日が沈んで辺りが暗くなってきた頃、教室に一人獄寺は待っていた。 そろそろ部活も終わった頃だろう。 迎えに行くか。 そう思い教室を後にし、下駄箱の方へ向かっていく。 外に出ると野球部がちょうど終わった頃らしく片付けを始めていた。 野球部の中でも体格の良い山本はすぐに目に付く。 せっせとボールを運んでいる。 「山本、これも持って行ってー」 「いいぜ。」 そんな会話が聞こえてきた。 ちょうどその時、山本は俺の存在に気づき手を振ってきた。 「・・・ばっ・・・か!!!ボール!!!」 とっさに叫んだがそれも遅すぎたため見事にボールは山本の後頭部にぶつかり、 山本はその場に倒れてしまった。 飛んでくるのわかってるのになんでこっち見て手なんてふってんだよ。 あいつは正真正銘のバカか・・・。 なんて呆れながらもきっと赤く腫れてこぶになってる頭をバカにしてやろうと 山本の方へ行く。 「おい、山本・・・・・・?」 様子がおかしい。倒れたまま動かない。 打ち所が悪かったのか? 「山本?」 揺すってみてもぴくりとも動かない。 周りに野球部員も集まってきて大事になってきた。 ボールを投げた本人はびくびくしながら山本の方を見ている。 「・・・・・・とりあえず脈はあるし、呼吸も正常だから命に別状はない。」 そう俺が一言いうと周りの空気が少し穏やかになった気がした。 今の時間帯シャマルはいないだろうし(どっちみち見てはくれないだろうが;) 病院に連れて行くしかないか。 無言で山本を担ぎ、近くにいたやつに山本の荷物をたのむ、と一言言って学校を出た。 「くっそ、こいつやっぱ重っ・・・」 山本をおんぶするなんて初めてで体格差を気にせずにはいられない。 「やっと、着いた・・・」 山本を医者に引き渡しほっと一息つく。 待っている間に山本の親父も連絡を入れる。 そんなに近いところにあるわけでもないのに山本の親父はすぐに飛んできた。 「武は大丈夫なのか?」 「今見てもらってるところっスよ。」 その時ちょうど看護師が出てきて病室に招かれた。 「見ての通り命に別状はないですし、軽い脳震盪だと思います。」 大丈夫ですよ、という声に山本の親父は大げさに安堵して見せた。 「よかったぁ・・・」 「・・・・・・んっ・・・?」 「武!!!!」 「山本!!」 山本が目を覚ました。 「あれ?親父。ここどこ?」 「ここは病院だ。」 山本の親父の代わりに獄寺が答えた。 「ふーん。サンキュ・・・・・・で、おまえ誰?」 思いがけない一言。冗談ならタチが悪すぎる。 「はァ?ふざけてんのかてめぇ!!!!!」 おもいっきり怒鳴ってやった。 「ごめん、本当にわかんないんだって。」 真顔で言われて、胸がいっぱいになる。 ホントウニワカラナイ・・・本気でいってるのか? 殴ってやろうと、胸ぐらをつかむとさすがに医者に止められた。 少し待ってて下さい、といわれもう一度病室から閉め出されてしまった。 なんなんだよ。 何で。 あいつに“誰?”なんて聞かれなきゃなんねぇーんだよ。 冗談だとしたらそれはあまりにも残酷な言葉。 倒れたあいつを心配しないはず無い。 待っている間だって、緊張して、心配して、いっぱいいっぱいだった。 やっと目を覚ましたと思ったら・・・ 俺を忘れた? お前にとって俺はそんなに簡単に忘れられる存在だったのかよ? クソッ・・・むしゃくしゃする。 山本の親父から入ってこいと言われたので深呼吸して 一度気持ちを落ち着かせてから病室に入った。 「ごめん。やっぱ思い出せねぇや。」 改めて発した山本からの第一声がこれ。 「・・・は?」 ショックに打ちのめされた。 「ちゃんと記憶はあるんだ。だけど、お前のことだけ思い出せない。」 「なん・・・で?」 呆然と山本をただただ見ていると医師が特例でこんなこと滅多にないんですがね。 と脇で言っているのが何となく耳に入った。 そんなことはどうでもいい。 なんで、俺だけ? 思い出せない?死ぬ気で思い出せよ。 クソッ、泣きそうだ・・・。 「・・・そうか、じゃあまた・・・明日。な。」 ショックだったこともあり俺はそのまま家へと逃げるように帰った。 明日になったらいつもみたいにべたべたくっついてくればいい。 全部夢だったんだと笑い飛ばしてくれればいい。 自分の記憶がなくなった訳じゃないのに俺の胸は穴が空いたみたいに 冷たい風が俺の心を吹き抜けた。 ・・・next・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ つよしの話し方わかんねぇ!!!!! 獄寺も山本もキャラ違いますね。 ハイ、ハイ。自覚してますから。 一応このまま終わっちゃうと獄寺がかわいそうだから続きを描きます。(予定) とぅーびぃーこんてにゅー