いつ君を殺してしまうかわからない…。



それでも僕は黙って君を側に置いてしまう。



君が僕から離れないように…。
そんな僕を君は愛してくれますか…?






―――――・・・輝き続ける永遠の宝石・・・――――――







「あ、雲雀さん!」



綱吉はいつも僕を見掛けるとカケヨってくる。


まあ…前みたいに訳もなく脅えられるよりは良い。

僕にとっても綱吉に話しかけられると機嫌がよくなる。



「ん?なんだい?」



「俺、昨日クッキー焼いたんですけど雲雀さん…食べてくれます?」


綱吉はおそるおそる鞄からクッキーを出して僕に手渡す。



「うん。ありがと。今から風紀委員の仕事で夜遅く残るからその時食べさせても
らうよ。」


すごく嬉しくて自然と笑顔になった。


「形とかいびつですみません…。久しぶりに作ったから…」


「いいよ。別に。それじゃあね。」


僕はそさくさと応接室に戻る。やらなくてはならないことは絶えない。


机の上に山積みにして置かれている資料を見るだけで疲れる。


「ふう…」


溜め息を一回つき、資料に目を通す。


………。


いつのまにか、時計は9時を回っていた。
帰る支度して綱吉からもらったクッキーを食べる。



ほのかな甘さが口の中に広がる。僕に合わせて作ってくれたのか、甘さを控え目
にしてくれたようだ。


(綱吉…)


クッキーを食べ終え、学校から出る。外はやはり暗く、静かだった。



「……?」



後ろから人の気配がした。



「綱…吉…?」


「あれ?雲雀さん!?」


驚いた。人の気配がして振り向くと綱吉がいたのだ。



「どうしたんだい?こんな時間に。」



「あっ…えと…喉渇いちゃって…ジュース買いに行こうと思って…。」



「そう…。夜道は危ないから僕も着いて行ってあげるよ」



「え…?ありがとうごさいますっ。」



ニコッと笑顔なる。その笑顔は何の汚れもない美しい笑顔だった…。

綱吉はこの血と涙で汚れた僕の側にいてくれるだろうか…?

良くない言葉ばかりが頭をよぎる。



でも今は綱吉と一緒にいれる。それは他でもない幸せなんだ。



「雲雀さん…?顔色…悪いですよ。何かありましたか?」



「…!?」



心配そうに僕の顔を見る綱吉はやがて口を開いた。



「雲雀…さん。辛い時は俺に言ってください…。」


「え…。」


うつ向く綱吉の口から驚くべき言葉が出る。僕の心が一瞬軽くなる。


「時々…雲雀さんはすごく辛そうな顔をしているの気付いてますか…?」


僕が無意識の内に…辛い顔をしている…?


僕はいつも自分の気持ちを表情に出さないようにしてるのに…。



「そ…そんな顔してるかい…?」

動揺が隠せずうまく喋れない僕に綱吉は僕の目をジッと見つめる。



悲しげな表情で…。


「話したくないなら…話さなくてもいいんで…っ!?」



綱吉の泣きそうな表情に僕は思わず綱吉を抱き締めてしまった。


そんなこと…してはいけないと心に言い聞かせているのに体が言うことを聞いて
くれない。



「ごめん…。ごめん…」


ただ謝りながら綱吉抱き締めた…。


「雲…雀…さん…。」


「綱吉…ごめん…。」


綱吉が困惑しているのに。何しているんだ…?僕…。


「雲雀さんは…どうして俺を抱き締めるんですか…。」


綱吉は僕の腕の中でかすれた声で言う。


「君の事が好きだから。」

ここまでしてしまったんだから正直に言う。

「それならいいんです。」

「え…?」

「僕も雲雀さんが好きだからですよ…。」



やっと…把握出来た。



綱吉が僕に言ってることを把握し、そして…


哀しすぎる言葉を綱吉に僕は言わなければいけない…。



「でもね…君は僕から離れてないと行けないんだよ。」



「え…なんで…?」


予想通り驚き、哀しい目をする綱吉を見るのはとても辛い。



「僕は綱吉以外の人間は要らない…君のことを想い過ぎていつ君を殺すかわから
ないんだ…。」



「俺は…雲雀さんが人を傷つけるのを見たくないんです…。だから…俺を殺して
雲雀さんが人を傷付けるのをやめるなら…」



「なんで…!?どうして自分より他のやつを守ろうとするの…!?」



わからない…



僕はずっと自分のことばかり大切にしてきたんだ。なのに…なんで?なんで…綱
吉は自分を犠牲にするの!?


「そんなの…雲雀さんが好きだからじゃないですか…。雲雀さんが人を傷つける
たび哀しくなるんです。」


涙ぐんで話す綱吉につられ、僕は涙で頬が濡れていくのに気付く。



「綱吉…この汚れた世の中を綱吉となら歩いていけるかな…?」



綱吉はフッと笑顔になる。



「汚れてなんかいませんよ。雲雀さんはまだ世の中の汚れているところしか見て
いないだけです。」


ああ…見つけた。


僕の中に汚れていないたった一人の、綺麗なもの…。



「綱吉そのもの」だ。



眩しすぎるくらい輝いているその笑顔に僕は何度助けられただろう…



綱吉は美しく輝く、僕の中にある宝石…。


僕は今更になって気付く。

僕が何よりも手にいれたかった宝なんだ…。




そしてつぶやく…






「ありがとう…」





















・・・end・・・







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